2019年3月30日土曜日

年次有給休暇年間5日取得の義務化について



労働基準法の改正に伴い、2019年4月から「年次有給休暇年間5日取得の義務化」が始まりました。



企業は年次有給休暇の正確な日数を把握し対策を進めなければなりません。

この記事では、2019年4月からの年次有給休暇について、どのように管理・保存していけばよいかをご説明いたします。



法改正後の年次有給休暇取得方法


労働基準法の改正により、年次有給休暇が年間10日以上与えられる労働者に対して、使用者は労働者ごとに、年次有給休暇を与えた日(基準日)から1年以内に年間5日の年次有給休暇を取得させることの義務化が始まりました。


企業では年次有給休暇の取得方法をどのようにして確実に年間5日取得させるかの対策をしていかなければなりません。

まずは年次有給休暇の取得方法についてご説明をしていきます。


使用者による時季指定


使用者が労働者に、年次有給休暇の取得時季の意見を確認します。

その意見をできる限り尊重したうえで、年間5日の年次有給休暇を指定します。

このことを「使用者による時季指定」といいます。

引用元:厚生労働省HP

「使用者による時季指定」で取得する年間5日の年次有給休暇は、当年に与えられた有給ではなく、繰り越し分の有給から取得しても大丈夫です。




自ら有給を取得している場合


すでに、年次有給休暇を通常の「労働者自らの請求・取得」により年間5日以上取得済みの労働者に対しては「使用者による時季指定」の必要はありません。




計画年休を取得している場合


また、就業規則の規定や労使協定を結び、計画的に年次有給休暇を取得する「計画年休」の定めがあり、すでに年間5日以上の「計画年休」を取得している労働者に対しても、「使用者による時季指定」の必要はありません。


このことからわかることは、年次有給休暇の取得方法は、確実に年間5日以上を取得させれば、その5日間の有給の種類は「使用者による時季指定」「労働者自らの請求・取得」「計画年休」のどれを使用しても大丈夫ということです。


そして、もし「使用者による時季指定」で取得する前に、「労働者自らの請求・取得」または「計画年休」により、すでに年5日間の取得がある場合には「使用者による時季指定」の必要はなくなります。





罰 則


年次有給休暇を年間5日以上取得させていない使用者は、罰則として取得させていない労働者一人あたり30万円以下の罰金が科せられることもあります。


そのため、使用者は年次有給休暇の取得しやすい環境づくりを進めていくことが重要となります。




年次有給休暇の管理・保存


使用者は労働者ごとに、時季、取得日数、有給が与えられた日(基準日)を管理しなくてはなりません。


そのためには、労働者ごとに年次有給休暇管理簿の作成が必要になります。


年次有給休暇管理簿は、賃金台帳を利用して年次有給休暇の管理に必要な、時季、取得日数、基準日の項目を盛り込み、賃金台帳と年次有給休暇管理簿を合わせて調整管理することも可能です。


そして、年次有給休暇管理簿の管理・保存については、必要な時に出力できる仕組みになっているのであれば、システム上で管理・保存しても問題はありません。


なお、年次有給休暇管理簿の保存期間は該当期間満了後3年間の保存義務となります。


まとめ


年次有給休暇年間5日取得の義務化は、日本の企業による年次有給休暇取得率の低さが背景にあります。


政府はこの現状を打破するべく、2020年までに年次有給取得率を70%にすることを目標としています。


その対応策として、企業は年次有給休暇の取得状況を労働者ごとに把握するための年次有給休暇管理簿の作成が必要になるのです。


そして年次有給休暇管理簿の管理・保存と、年次有給休暇の取得しやすい環境づくりや、取得しても業務に支障をきたさず、円滑に務まるような対策を整える取り組みが重要課題となるでしょう。









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